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0.序章 [硝子の森]

 かつて、そこにあった存在は何もない……。
 荒れ果てた星。
 どうしようもなく淀んだ空気。水。
 風は毒を運び、かつては青色だったと伝えられる海の水は触れたくもない臭気を放っている。
 「青き星」
 そんな名で呼ばれたこともあったか。
 今は、死んだ星。

 荒廃した大地。
 戦いに戦いを重ね、その果てでの世界統一。
 一度は戦争を放棄したはずの平和な世界。
 そして……やがて起こった、権力争い。
 それは、決して武力によるものではなく。しかし、確実に世界を蝕んだ。

 今も残る、灰色に固められた世界。
 聳え立つ様々な形のいびつな塔。
 もはや用を為さなくなったそれは、しかし、破壊することもできずに今も大地を覆う。

 豊かではない大地。
 耕しても、最低限の実りすら得られない痩せた大地。
 自らに残されたものにしがみつくように、人は暮らしている。
 争いもなく。
 皮肉な話ではあった。
 日々を生き抜くことで精一杯の彼らは、戦うことすらできないのだ。
 全てが平等に過酷な世界に於いて、彼らは寄り合うことで生きている。
 全てのものを、自らの手におさめようなどという考えは、彼らにはなかった。

 そうしたところで、何ひとつ得るものがないことを、彼ら自身よく知っていたからだ。


第1話第2話


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